Jun Kondo

Rainbow Drops

万代シティのシンボル、レインボータワー。万代といえば誰もがパッと思い描く街のランドマークが今年なくなる。意識することもなく、そこにあることが当たり前で、ずっと無関心だったのだ、ひとたび無くなってしまうことが決まるまで。けれどようやくこの虹も、雨上がりの空に現れる幻としての職務をまっとうできるのかもしれない。ただ普段より長く空に居座ってみたら半世紀近く経っていただけで、時が移り変われば消えてしまうこと自体はごく自然なことなのだろう。

この二畳間の空間にあるのは、虹の街を行き交う私たちの移ろいの記憶です。空にあった虹の結晶は「氷」として溶け落ち、水滴となって地面に広がっています。確かにそこにあったはずの氷は、時間の流れに身を任せて消え、大地に七色の痕跡を残して、立ち去って行きました。有形であり無形の氷、滴り落ちる水の音、混ざり合うの虹の素色。地表に映し出された痕跡から、そんな諸行無常の移ろいを逆再生すると、存在しない現在よりも存在していた過去こそがより色鮮やかな記憶として残って行きます。

新潟オフィスアートストリート2017 招待作家として展示