Jun Kondo

まちのちそう

砂は流れ、いろんな何かの“かけら”を受け入れて、居場所を探す旅をする。

彼らは水や風とダンスしながら、大地と海のバランスを遠くまで押し広げ、そこに街がつくられた。

そしていつしか人がそのバランスを支配し始めた時、砂は新たな旅先を探し始める。

今、行方をくらましつつある砂の居場所を、街の中から記録する。

新潟市は信濃川と阿賀野川から運ばれて来た砂が堆積して出来た街です。そこには砂丘列という偏西風と海風とが重なって出来た独特のリニアな地形がホウキ状に並んでいます。この街ではかつてその地形の小高い場所で住居を構え、低い土地で稲作などを行う生活文化が根付いていました。しかし度重なる洪水のために川の護岸工事や瀬割を行って信濃川に分水路をいくつも作った結果、砂の流れが変わってしまい、一昔前まで数百メートルもあった砂浜が消滅し始めてしまいました。

砂の街から砂浜がなくなりつつある。その砂は何処へ行ってしまったのだろうか。この試みは海辺から防砂林を超えて街へ降り注ぐ「砂」の行方を探る1日の記録であり、砂を通して見える街の様子そのものです。

新潟市の中心部、古町エリアを一番町から十三番町までサイクロン式掃除機を使って砂を採取し、町割に合わせて地層のように堆積して行きました。町割の中にも砂の色に表情があり、点字ブロックの多いエリアは黄色、車の交通量の多い場所は黒、海に近い居住エリアは自然の白色など、砂を通して見た古町の都市活動が垣間見える分布図に似た作品となりました。

新潟オフィスアートストリート2016 最優秀賞

審査委員長 日比野克彦